昨年7月、当会は、田尻賞受賞という名誉をえた。受賞の理由は、情報公開制度の普及に貢献したということであった。田尻賞は主として、公害・環境問題などに取組む団体や個人を対象にしているもので、独自の課題をもって運動している個人や団体を情報公開という問題にしぼって結ぶネットワークが、受賞することは珍しいことと思う。
私たちのネットワークのメンバ―の多くは、主として、行政機関のすることに対して「それはちょっとおかしいんじゃない?」という生活感覚的疑問をもった人たちである。その疑問に続くのは「では、実情はどうなってるの?」という疑問である。そこから、情報公開請求が始まり、ネットワークは、お互いの知識や経験の交換、励ましあいによって、成果をあげてきた。(1)現状に対する「おかしいのではないか?」という疑問、(2)自分の目による実情の調査、(3)ネットワークによるゆるやかな連帯というスタイルは今後も重要性を増してくると思われるので、是非、この運動スタイルを維持発展させていきたい。
昨年からの持ち越しとして、本年に力を入れなければならない問題に、昨年10月末に自由民主党が公表した「新憲法草案」に新たな権利として盛り込まれたと多くの報道機関によって報道された「知る権利」の問題がある。
「新憲法草案」に、21条の2として、「国は、国政上の行為につき国民に説明する責務を負う」という条文が挿入された。このことを多くの報道機関が、「知る権利」が規定されたと報道した。「説明する責務」は説明責任と訳されているアカウンタビリティのことであろう。
「説明責任」と「知る権利」は似ているところがあるが、同じことを意味する言葉ではなく、同じものとする報道はミスリ―ディングである。この報道について運営委員会で議論をし、報道機関に申し入れたが明確な回答を得ることはできなかった。この誤報が、報道機関の無知によるものか、それとも情報操作によって生じたものか、それは分からない。この事件を通じて私たちは、(1)報道機関においてさえ「知る権利」が正確に理解されていない。(2)現行憲法の全文を書き換えるのであれば、「知る権利」はどのように位置付けられるべきか、(3)報道機関における報道責任、(4)いわゆる「憲法改正」にどう対処すべきか、といった問題を考えさせられた。
現在は「劇場政治の時代」といわれるように、政治は世論によって、また、世論は報道によって左右される。こうした情勢下に、必要とされるのは、市民の自発的な参加による運動団体のネットワークを交差的に重ねあわせて対抗勢力のネットワークを強化することであろう。運営委員会にしばらく遠ざかっておられる会員の方々も新年からはお元気な顔をみせ、新しい問題の提起をして下さることをお願いしたい。
知る権利ネットワーク関西 代表 熊野 実夫
- 10月の総会に内容について、話し合いました(下記参照)。
- 11月以降に検討会の情報公開制度の運用改善案がどう現場に反映しているかを検証するために国の出先機関に情報公開ツアーを行う方向で具体的な請求内容を検討することになりました。また。年内に大阪府に情報公開ツアーを実施する方向で、調整することになりました(下記参照)。
- 田尻賞の賞金の使途について、話し合いました。当分は、一般会計とは別収入として、今後検討することになりました。
- 野村さんから1992年に出版された「それいけ!情報公開」(せせらぎ出版)の収益金を本ネットワークに寄付したい旨の申し出があり、了承しました。
- 台風14号の接近で開催が危ぶまれましたが、総会開催に向け、充実した会議内容でした。
運営委員会は、当日正午以降に大阪府に暴風雨、大雨、洪水のいずれか一つの警報が発令されている場合は中止します。

